Fanett chair 55T by Ilmari Tapiovaara for Edsby Verken / CH164-4
¥107,800
商品名:Fanett chair 55T by Ilmari Tapiovaara / CH164-4
デザイナー:Ilmari Tapiovaara(イルマリ・タピオヴァーラ)
メーカー:Edsby Verken
サイズ:W455 D445 H780 SH430(mm)
素材:チーク/ビーチ(黒色塗装部分)
原産国:スウェーデン
在庫数:1
価格:107,800円(税込)
※上記の商品価格の他に配送費を承ります。
アートセッティングデリバリー Bランク
Overview
1955年、フィンランドのデザイナー、イルマリ・タピオヴァーラによってデザインされたFanett chair 55T。大きな弧を描く背もたれの上部と、そこから座面へ伸びる6本のスポーク。深みを増したチークの座面と、黒く塗装されたフレームによる明快な色の対比。いくつものバリエーションがつくられたFanettの中でも、特に人気が高く、シリーズの販売を大きく伸ばしたモデルです。
北欧ヴィンテージ家具に親しんできた方には、見覚えのある一脚かもしれません。けれど、長く支持されてきた理由は、その知名度や印象的な姿だけではありません。椅子として必要な強度を保ちながら、使用する材料を抑え、軽く、扱いやすくつくること。日常のための椅子に求められる条件を簡潔な構造へ落とし込み、そのすべてを美しい輪郭の中に収めたことに、55Tの変わらない魅力があります。
本品と同型のFanett chair 55Tは、スウェーデン国立美術館とノルウェー国立美術館のコレクションにも収蔵されています。
About Fanett
Fanettとは、ある一つの椅子だけを指す名称ではありません。背もたれの形やスポークの本数、座面の大きさなどが異なる椅子のほか、スツールも含め、Edsby Verkenによって複数のモデルが展開されたシリーズの名称です。
その中で最も広く知られているのが、イルマリ・タピオヴァーラによってデザインされた6本スポークの55T。本品と同じモデルです。
Fanettの歴史は、タピオヴァーラが55Tを手がける以前に始まります。スウェーデンの家具メーカーEdsby Verkenでは、1936年から、スキー製造で生じた端材を活用したスポークバックチェアをつくっていました。1949年、同社でスポークバックチェアの製造を担っていたLennart Karlstorpが、重量と製造コストを抑えた椅子を開発。ここから、後のFanettにつながる基礎が生まれます。その数年後、この椅子はイルマリ・タピオヴァーラによって改良され、55Tというモデル名を与えられました。こうして1955年に発表されたのが、6本のスポークをもつFanett chair 55Tです。
同年、フィンランドでは、同国を代表する家具メーカーの一つであったAskoが55Tのライセンス生産を開始します。スウェーデンではEdsby Verken、フィンランドではAskoによって製造され、Askoでの生産は1966年まで続きました。
55Tの登場を機にFanettの販売は大きく伸び、家庭だけでなく、さまざまな公共空間にも広く普及します。1970年に製造を終えるまでに、Fanettは500万脚以上が販売されたとEdsbynの公式資料に記録されています。
55Tのほかにも異なる意匠をもつFanettのなかでも7本スポークの65Tは、55Tよりも座面を小さくしたEdsby Verkenによる後の派生型です。フィンランドのラハティ歴史博物館の資料によれば、65Tはタピオヴァーラ自身のデザインではなく、Askoのラインナップにも含まれていませんでした。
このようにFanettは、一人のデザイナーによる一つの完成形を指すのではなく、Edsby Verkenが改良と展開を重ねてきた椅子のシリーズです。その歴史の中で、タピオヴァーラが手がけた55Tは、Fanettの普及を大きく後押しした中心的なモデルとなりました。
製造終了後も、生産再開に関する問い合わせが長年にわたって寄せられ、2025年、Edsbynは約55年ぶりに55Tの製造を再開しました。現行品では、椅子の高さを現在の規格に合わせ、背と脚の材を従来の輸入ビーチからスウェーデン・ヘルシングランド産のバーチへ変更するなど、一部の寸法と素材を更新しています。
スキー製造で生じる端材の活用から始まり、複数のモデルへと展開されたFanett。その中心を担った55Tは、Edsbynの歴史と現在のものづくりを結ぶ椅子として、再び生産されています。
Design Details
この椅子の印象を決定づけているのは、豊かな木目を見せながら一枚の面として浮かぶチークの座面と、そこを起点に、太さに繊細な抑揚をつけながら上下へ伸びる、黒く塗装された背と脚です。あたたかみのある木肌を、すらりと伸びる黒い線が引き締めることで、座面の輪郭はより鮮明に。異なる色と質感、面と線、量感と余白。それぞれが互いを引き立て合いながら、Fanett 55Tならではの端正さと、どこか愛嬌を感じさせる姿をつくり出しています。
背もたれの上部は大きな弧を描き、その下に6本のスポークが並びます。外側へ向かうほど角度を開き、接合部へ向かって細くなるスポークが、黒の力強さに繊細さと美しいリズムを加えています。
緩やかに窪んだチークの座面を、外へ開く4本の脚と貫が支える構造。部材の太さや角度、間隔を整えることで、軽く量産しやすいという合理性が、Fanett 55Tに固有の美しさへと高められています。
At Home
店主より、
Fanett chair 55Tは、シツラエルでこれまで何度も扱ってきた、定番と呼べる椅子です。同じ55Tであっても、チークの木目や経年による色合い、残されているラベル、使われてきた環境によって、一脚ごとに表情が異なります。その違いを確かめながら選ぶことも、ヴィンテージのFanett chairを扱う楽しみのひとつです。
デンマークに、Børge MogensenのJ39があります。People’s Chairと呼ばれ、家庭や飲食店、公共施設など、さまざまな場所で使われてきた椅子です。私にとってFanettは、スウェーデンにおける、そんな人々の暮らしに近い椅子のひとつです。買い付けをしていると、小さな街の教会でFanettが何脚も使われている光景に出会うことがあります。以前扱った一脚には、座面の裏に、子どもが書いたような拙い文字で名前が残されていました。教会に並ぶ椅子も、誰かの名前が書かれた椅子も、特別な鑑賞物としてではなく、人々の日常の中で使われてきたことを伝えています。
Fanettは、決して数の少ない椅子ではありません。1970年に製造を終えるまでに、500万脚以上が販売されています。けれど私は、量産されたという事実を、この椅子の価値を損なうものだとは思いません。多くの家庭や公共の場に迎えられ、人の手に触れ、その周りでさまざまな出来事が生まれ、大切な時間を共有するものとして暮らしの一部になっていた。その背景にこそ、希少性やデザイナー家具としての評価とは異なる、Fanettの魅力があると感じています。
誰かの日常のためにつくられ、長く使われた椅子が、時を経て、また別の誰かの暮らしへと受け継がれていく。そのあり方は、私がヴィンテージ家具に惹かれる理由とも重なります。
ダイニングに複数脚を並べるのはもちろん、異なる椅子と組み合わせても、Fanettの黒いフレームとチークの座面が空間を引き締めます。どの方向から見ても輪郭が美しいため、背面が見える場所にも。デスクやドレッサーに合わせたり、エントランスで荷物を置いたり。その佇まいを楽しみながら、暮らしのさまざまな場所でお使いいただけます。
Design Notes
・成形合板の座面と木製フレームによる、軽量性と強度を両立した構造
・チークの面と、黒く塗装された背や脚の繊細な線がつくる色彩と余白
・量産家具としての合理性を、長く使い続けられる日用品の美しさへと高めたデザイン
Designer / Maker
Ilmari Tapiovaara (1914~1999)
イルマリ・タピオヴァーラ
フィンランド生まれ。20世紀のフィンランドを代表するデザイナーの一人です。ヘルシンキの中央美術工芸学校で家具デザインを学び、在学中の1935年にはロンドンへ渡り、ArtekのロンドンオフィスでAlvar Aaltoのもと働いたと伝えられています。1937年の卒業後は、パリにあるLe Corbusierの事務所でアシスタントを務め、ヨーロッパのモダニズムを間近で学びました。フィンランドへ帰国した後は、当時同国を代表する家具メーカーの一つであったAskoで、アートディレクター兼デザイナーを務めます。20代の頃から、工場での量産を前提とした家具づくりに携わっていました。
タピオヴァーラが一貫して取り組んだのは、限られた材料と合理的な製造方法によって、質の高い家具を多くの人へ届けることでした。特別な場所のためにつくられる家具ではなく、家庭や学生寮、学校、公共施設など、多くの人の日常に寄り添う家具。その思想は、Domus chairやPirkkaをはじめとする代表作に共通し、Fanett 55Tにも見ることができます。
現在では、Domus chair、Mademoiselle、Pirkka、Kikiなど、タピオヴァーラの多くの代表作がArtekによって製造されています。ただし、これらがArtekのコレクションに加わったのは後年のこと。Fanett 55Tは、1955年にスウェーデンのEdsby Verkenから発表された椅子です。
Edsby Verken
1899年、職人Lars Fredrik Petterssonが、スウェーデン中部の町Edsbynに開いた木工所を起源とする家具メーカー。創業当初は家具やドア、窓などを製造していましたが、1934年にスキー製造を担う会社を設立し、スウェーデン軍への納入をはじめ、競技用から家庭用まで幅広い木製スキーを生産。その過程で培われた木材加工の技術と、製造時に生じる端材の活用が、スポークバックチェアの生産へとつながりました。1936年には、スキー製造で生じた木材を利用したスポークバックチェアの生産を開始。そこから発展したFanettは、Edsby Verkenが培ってきた木材加工の技術と、材料を有効に使う発想から生まれた家具でした。
その後、同社はオフィスや公共空間のための家具を中心とするメーカーへと発展。現在はEdsbynの名称で、創業地における家具製造を続けています。
Fanett 55Tは、イルマリ・タピオヴァーラの造形と、Edsby Verkenが長年培ってきた技術や製造環境が重なることで完成した椅子です。
リペアについて
・各パーツを分解の後、組み直しをしておりますのでガタつきなどなく安心してお使いいただけます。
外観を整えるだけではなく、日常の椅子として安心してお使いいただくためのフルリペアです。
・汚れや古い塗装を剥離後、サンディング、再塗装(ラッカー塗装)のフルリペアを施しました。
黒く塗装された部分も、塗装が剥がれた箇所だけを補うタッチアップではなく、古い塗膜を取り除いてから全面を再塗装しています。そのため、塗り重ねによる凹凸や部分的な色むらがなく、均一で滑らかな手触りに仕上がっています。
座面も古い塗装を剥離し、チークの木目と色合いを確認しながら表面を整え、ラッカー塗装を施しました。
・座面には経年によるわずかな色むらと薄い傷が残ります。(画像16.17枚目)
・脚部や背もたれなど黒く塗装されている箇所に、小さな打痕の跡が見られます。(画像18枚目)
・座面裏には、Fanett / Tapiovaaraのラベル、当時の品質表示、Edsby Verkenのメーカーラベルが残されています。
家具全体で見た際に大きく目立つものではなく、ご使用に支障のないものですが、できる限り実物に近い状態をお伝えできるよう掲載しております。掲載画像だけではご不安な点や、詳しく確認されたい箇所がございましたら、追加の写真をお送りいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
【 シツラエルのリペアについて 】
当店では現地で買い付けたヴィンテージ家具を一点ずつしっかりと確認し、個々に合わせたリペアを施しています。表面や収納内部のクリーニングはもちろん、その家具の状態に合わせて、古い塗装の剥離、接合部分の分解、キズや欠けの補修、ぐらつきなどの調整、再塗装までの仕上げを専門のスタッフにより国内で一貫して行っております。
目指しているのは全ての傷を消し去り、新品のような姿にすることではなく、ヴィンテージ家具が持つ風合いや年月の表情を大切に残しつつ、これからも安心してお使いいただける状態へ整えることです。また、発送前にはあらためて最終点検を行い、ぐらつきや緩みなどがないことを確認した上で、丁寧に梱包・発送しております。
【 安心してお使いいただくために / お手入れについて 】
本品はラッカー塗装を施しております。オイル塗装と比べると水気に強いですが、表面の塗膜は比較的薄いので、日々のお手入れは柔らかい布で乾拭きをしてください。汚れが気になる場合には固く絞った布で拭いた後、乾拭きをして水分を残さないようにしてください。また、ラッカー塗装はアルコールやシンナーなどの溶剤が含まれたものによるお手入れは家具表面の塗膜を溶かしてしまいます。白く変色を起こしますのでご使用は避けてください。(アルコールの除菌シートも避けてください。)高温のポットやカップの直置きも塗膜を溶かしてしまいますので、鍋敷きやコースターを敷くようにしてください。
艶が落ちてきた場合や、小さな薄いキズができた場合は、ラッカー塗装に対応している家具専用ワックスやオイルを薄く塗布した後に乾拭きをしてください。表面の保護と艶出しの効果があります。
ご使用環境にもよりますが、年に1〜2回程度を目安にお手入れいただくことをおすすめしております。
直射日光やエアコンの風、加湿器、床暖房などによる急激な温度・湿度の変化は、木部の日焼けや乾燥、反りなどにつながる場合がございます。人の肌と同じように、木も環境の影響を受けながら少しずつ変化していきますので、できるだけ穏やかな環境でお使いいただくと安心です。
お使いいただく中で気になることやメンテナンスのご相談などがございましたら、ご購入後もお気軽にご連絡ください。末永くお使いいただけるよう、お手伝いをさせていただきます。
【 お届けについて 】
商品の出荷前点検を行った後に発送をさせていただきます。
通常ご決済より1週間ほどでの発送をしておりますが、しばらくの保管をご希望の場合にはご注文の際にお知らせください。無償で3ヶ月まではお預かりさせていただきます。(長期になる場合にもできる限りのご対応をさせていただきますのでご相談ください。)
【 商品のご確認について 】
商品実物は、弊社倉庫(川崎市宮前区)にてご覧いただくことが可能です。
(平日 10:00~17:00 ご予約制)
お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
ご遠方で実物確認が難しいお客様には、お気になる箇所の詳細画像のお送りをさせていただきます。お問い合わせよりお気軽にご依頼ください。
※この商品は1点までのご注文とさせていただきます。










































